PIC/Sのこと

2018年02月06日

こんにちは

東京は比較的穏やかな気候ですが、日本海側は大雪のようです
雪に慣れている方々も油断大敵!気を付けてお過ごしください。


さて、今日も2016年度日本版GDPガイドライン素案(以下、日本版GDP素案)とPIC/S GDPガイドラインの読み比べです。今回は超特急で「第7章 外部委託業務」から、最後の「第9章 輸送」まで見ていってしまいます。


<第7章 外部委託業務>
本章の内容は、PIC/S GDPも日本版GDP素案も実質的には同じです。

7.3 契約受託者
日本版GDP素案、PIC/S GDPともに、再委託の際に契約受託者と第三者との間でなされる取り決めにおいて、卸売販売に関する情報の提供を保証することとなっていますが、日本版GDP素案ではその情報に含まれる具体的な内容(委託した業務を実施する為に必要とされる品質に関する情報)が補足されています。


<第8章 自己点検>
本章の内容も、PIC/S GDPと日本版GDP素案で実質的には同じです。

8.2 自己点検
PIC/S GDPでは明示されている自己点検プログラムの対象が、日本版GDP素案では明記されていません。とはいえ、自己点検の手順書にはPIC/S GDPと同様の対象を明記することになりますので、違いはないと言えるかと思います。


<第9章 輸送>
9.1 原則
本シリーズで度々お伝えしていますが、9.1.2章においてもPIC/S GDPでは医薬品の「品質及び完全性」に対して焦点が当てられているところで、日本版GDP素案では医薬品の「完全性」のみに焦点が当てられています。医薬品の品質は製造の段階で作り込んでおき、輸送の段階ではその品質を維持する「完全性」が求められているのでしょうね。

9.2 輸送
9.2.2章において、日本版GDP素案では輸送中に温度逸脱や製品の損傷が発生した場合の手順書が必要であると読み取れます。PIC/S GDP対応済みの会社さんにおいては、本手順書の有無を念のため確認していただければと思います。

9.2.3章では、上述の9.1.2章とは唯一逆で、PIC/S GDPでは包装の「完全性」への影響に言及されている箇所で、日本版GDP素案では包装の「品質等」への影響が言及されています。「等」となっているため、完全性も含まれるのだろうと想像できますが、それ以外の包装の「品質」への影響にはどのような事例が考えられるでしょうか。。。もし「こんな場合があるよ!」とお気付きの方は、こっそり教えていただけると嬉しいです。

9.2.9章においては、輸送ルート上の輸送基地において積み替え等が行われる場合、温度モニタリング、清浄度およびセキュリティについて、PIC/Sでは中間保管施設について特別な注意を払うように求められていますが、日本版GDP素案では特に場所の特定はありません。したがって、輸送ルートにおいて積み替え等が発生する場合は、常に、温度モニタリング等に対して注意を払うことが必要となります。例えば、中間保管施設の温度モニタリングのみならず、製品の包装単位で温度モニタリングをすることも対策の一つになるのではないかなと考えます。

9.3 容器、包装及びラベル表示
9.3.2章において、日本版GDP素案では税関での一時保管についての記述がありません。これは輸出入が日本版GDPガイドラインの適用範囲外となっているためだと考えられます。

9.4 特別な条件が必要とされる製品
9.4.2章にて、日本版GDP素案では、高活性物質・放射性物質用の輸送条件(専用の安全かつ確実な容器と車両を用いること)が明記されていません。関係法規に従うこととなっていますので、特に現時点での運用を変更する必要はないかなと思います。



以上で、2016年度日本版GDPガイドライン素案とPIC/S GDPガイドラインの読み比べは終了です。
ざっとまとめてみましたが、概して大きな違いはないかなという印象でしたね。

2017年版が公開されましたら、同様の読み比べシリーズを掲載する予定です。偽造医薬品流通混入における影響がどの程度盛り込まれるか、今から少しドキドキです

今回のシリーズに先立ち用意しました「PIC/S GDPガイドライン日本語訳案と日本版GDPガイドライン素案(2016年度版)対比表」は、ご要望に応じてお渡しできます。どうぞお気軽にご連絡くださいませ


<完>




(17:27)

2018年01月30日

こんにちは

先日、「販促EXPO」という展示会に行ってきました。

そんな製薬業界とはかけ離れた環境の中、「薬局」という言葉をふと耳にし引き寄せられたところ、「ヘルス・グラフィックマガジン」というフリーペーパーを紹介してもらいました。「乾燥肌」、「夏バテ」、「体臭」、「鼻炎」など、とても身近な体のトラブルを題材として扱っていて、イラストを多用した読みやすい構成になっています。

薬局をはじめ、スポーツジムや図書館でも配置されているようですので、見つけたらぜひお手に取ってみてはいかがでしょうか。

くわしくはこちらから
https://www.aisei.co.jp/magazine/



ではでは今日もさっそく本題、2016年度日本版GDPガイドライン素案(以下、日本版GDP素案)とPIC/S GDPの読み比べです。今回は「第6章 苦情、返品、偽造の疑いのある医薬品及び回収」です。

<第6章 苦情、返品、偽造の疑いのある医薬品及び回収>
6.1 原則
日本版GDP素案では、医薬品を再販売する場合、譲受人から保管品質が保証されていることが必要とされています。

6.3 返却された医薬品
6.3.1章の返品について、PIC/S GDPでは「国の規制及び関係者の契約書に従う」となっていますが、日本版GDP素案では「関係者間の協議に従う」とされていて、緩和された表現となっています。
また、6.3.2章と6.3.3章の販売可能在庫に戻す条件も、PIC/S GDPより日本版GDP素案の方が緩い要件となっています。
ただしこれら返品に関しては、偽造医薬品流通混入発覚後の2017年度ガイドライン案作成時に再度検討されることとなっています。したがって、今後の動向に注目していたいと思います。

6.3.4章の販売可能在庫に戻した製品の引当については、日本版GDP素案では「使用期限順先出し(FEFO)」のみならず「先入れ先出し(FIFO)」が追加されています。これは実状に合わせての追加だと想像できますが、いずれにしても使用期限が短い製品から払い出されることが必要だと思いますので、実質的にはPIC/S GDPも日本版GDP素案も差異はないと思われます。

6.4 偽造医薬品
6.4.4章の偽造医薬品発覚時の対応については、PIC/S GDPと比べ日本版GDP素案では、再混入しないことの保証、さらには、撤去及び廃棄の手続きの決定について触れられていません。しかし、やはり昨年の偽造医薬品流通混入発覚以降、日本国内の偽造医薬品に対する認識も大きく変わっているため、2017年度のガイドライン案作成時には再検討される可能性がありそうだなと考えています。

6.5 医薬品の回収
6.5.2章の販売先への連絡について、日本版GDP素案では緊急度を定めず、すべてについて速やかに連絡することとなっているため、PIC/S GDPよりも厳しい表現となっています。


6.5.3章の所轄当局への連絡について、日本版GDP素案では輸出された場合の対応が削除されています。これは、輸出入が日本版GDPガイドラインの適用範囲外となっているためだと思われます。


6.5.4章の回収に関する取り決めの有効性については、PIC/S GDPでは「少なくとも年1回以上」確認することとなっていますが、日本版GDP素案では「定期的に」確認するとの表現にとどまっています。


日本版GDP素案の6.5.6章については、日本のGMP省令やGQP省令における回収要件と整合させるためにPIC/S GDPから若干変更が加えられています。

また、6.5.8章の回収のための流通記録については、6.5.3章と同様、日本版GDP素案から輸出の場合についての記載が削除されています。



つづく



(13:44)

2018年01月23日

こんにちは

昨日の大雪で、今朝の通勤は転ばないように歩くのがとても大変でした。


ではでは今日もさっそく本題、2016年度日本版GDPガイドライン素案(以下、日本版GDP素案)とPIC/S GDPの読み比べです。今回は「第4章 文書化」からです。

<第4章 文書化>
4.2 一般
日本版GDP素案の4.2.4章では、手書き文書に関する事項が削除されています。4.2.1章にて文書には記録が含まれることとなっているため、ここで手書きを許容することにより、PIC/S GDPよりも記録作成における制限が緩和さることになるかと思います。

4.2.6章の文書保管期間について、PIC/S GDPでは最低5年は保管することとなっていますが、日本版GDP素案ではその定めがなくなっています。日本の法規制等を考慮した結果かと思われます。

4.2.9章の取引の記録については、日本版GDP素案では、記録をコンピュータ保存する際の注意点にも触れられています。つまり、コンピュータ化システムバリデーション(CSV)を実施する際は、この点についても検証が必要と言うことになるかと思います。
なお、記録に含まれる情報に関して、日本版GDP素案では製造番号及び使用期限は必須ではなく「望ましい」のレベルに留められています。



<第5章 業務の実施>
5.2 仕入先の適格性評価
仕入先の適格性評価については、日本版GDP素案もPIC/S GDPも同じ内容となっています。しかし、昨年の偽造医薬品流通混入事件により、仕入先確認の重要性が改めて認識されてきているため、今後の動向には注目していたいと思います。


5.3 顧客の適格性評価
日本版GDP素案の5.3.1章では、医薬品の供給元に「飼育動物診療施設の開設者」が追加されています。これは日本の法規制等に準拠させた結果だと思われます。

5.3.3章では、PIC/S GDPにて要求されている取引状況の監視が日本版GDP素案からは削除されています。しかしながら、偽造医薬品の流通経路混入対策としては有効な手段だと思いますので、これも今後の動向に注目していたいと思います。

5.4 医薬品の受領
5.4.3章の販売承認前の在庫の取扱い、5.4.4章の偽造が疑われる製品の取扱いについて、日本版GDP素案では欠番となっています。これは既存の省令(GMP/GQP/GVP等)の範疇となるからなのかなと推測しています。


5.5 保管
5.5.3章では、PIC/S GDPにて「倉庫の運用」要件とされている内容が、日本版GDP素案では「保管」の要件として記載されています。「保管」の場合、小型保冷庫や運送用コンテナなども含まれるため、対象範囲が広がることになると思われます。

日本版GDP素案の5.5.4章では、在庫の引当方法としてFIFO(先入れ先出し)が追加されています。これは実状を考慮しての追加だと思われます。

5.5.6章では、期限間近の医薬品の取扱いについて述べられていますが、日本版GDP素案では「保管期限」が除外され「使用期限」のみについて触れられています。そのため、PIC/S GDPよりは若干緩和された内容になっているかと思われます。

5.7 ピッキング
日本版GDP素案では、「出荷期限内の製品」をピッキング対象とすることが述べられています。したがって、何らかの形で出荷期限を定義することが必要になるかと思います。

5.8 供給
日本版GDP素案では、供給品に対して、ロット番号または製造番号、使用期限、実際の配送場所、輸送条件、保管条件の記載が必須とはされていません。また、場所の特定を可能にする記録の保管については、言及されていません。これらは実状を考慮した結果だと推測しています。


5.9 輸入及び輸出
日本版GDP素案では、章がまるまる欠番となっています。国内のみの流通であれば問題ありませんが、流通過程において輸出入が絡む医薬品については、PIC/S GDPや相手国の規制等に従うことも必要となります。


つづく




(15:43)

2018年01月19日

こんにちは

今年初の5日連勤も残り数時となりました
なんだかいつもよりも週末が恋しい一週間でした。


さて今日も前回の続き、2016年度日本版GDPガイドライン素案(以下、日本版GDP素案)とPIC/S GDPの読み比べです。今回は「第3章 設備及び機器」の後半部分を見ていきます。

<第3章 設備及び機器>
3.4 機器
3.4.2章の校正(キャリブレーション)の間隔については、PIC/S GDPでは「リスク及び信頼性評価(reliability assessment)」、日本版GDP素案では「リスク及び要求精度」に基づいて定めるとなっています。つまり、日本版GDP素案では「信頼性評価」が「要求精度」に変更されているのですが、どのような違いがあるのかすぐにイメージできなかったため、具体的に例を挙げて考えてみました。

環境制御に使用される機器:
 ・温度コントローラー(エアコン等)

リスク:
 ・保管製品の温度感受性
   →温度感受性が高いと、リスクも高い
 ・保管場所の温度変動幅
   →温度変動が大きいと、リスクが高い(小型冷凍庫など)

信頼性評価(reliability assessment):
 ・環境(温度、湿度、振動等)による機器への影響

 ・機器の故障率
 ・機器の寿命

要求精度:
 ・要求温度精度(許容温度幅)
 ・温度逸脱の許容時間

上記から「信頼性評価」と「要求精度」の違いを考えてみると、「信頼性評価」は機器特性に対する視点、「要求精度」はユーザからの視点であり、異なる観点からのアプローチだということがわかります。しかしながら、ここで挙げている信頼性評価や要求精度の項目は、結局のところ、どちらも温度管理の逸脱リスクに帰結することになるのではないでしょうか。そのため、PIC/S GDPと日本版GDPのどちらに対応する場合でも、機器校正の間隔は「リスク」、「信頼性評価」、「要求精度」の3つを考慮して決定することが望ましいかなと思います。

3.4.4章では、機器の修理・保守及び校正を実施する際のポイントとして、PIC/S GDPでは「医薬品の品質及び完全性」を維持するよう求められていますが、日本版GDP素案では「医薬品の完全性」のみが求められています。こちらの記事でも挙げているように、日本版GDP素案では本章以外でも「品質及び完全性」ではなく「完全性」のみとなっている箇所が何か所かありました。この意図についてはよくわからないのですが、品質はGMPやGQPで作り込み、維持管理されるため、GDPではその品質を維持することの完全性のみが求められているのではないかなと想像しています。

PIC/S GDPの3.4.5章では、適切に維持管理すべき主要機器の一つに「access control systems」が挙げられており、PIC/S GDP(翻訳案)では「入退室管理システム」と訳されています。しかしながら、日本版GDP素案ではまた「アクセスコントロールシステム」に戻っているため、ここには意図があると理解してよいかと思います。 アクセスコントロールシステムでは、入退室管理の他、システムへのアクセスや製品へのアクセス等、あらゆるアクセスが管理の対象となります。したがって、GDP対応をされている会社さんは今一度、アクセスを管理するためのシステムのご利用状況を確認いただければと思います。



3.5 コンピュータ化システム
日本版GDP素案では、GDPにおいてもGMP/GQPで適用されている「コンピュータ化システム管理ガイドライン」を参考にすることとなっています。重要なシステムに対しては、そのリスクに応じたCSV(コンピュータ化システムバリデーション)が必要となりそうです。
そのためにまずは、システム台帳の作成とリスクアセスメントを実施することになるかと思います。CSVをどうやって進めればよいか見当がつかないとお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください♪

3.5.4章では、保管中のデータについて、PIC/S GDPでは定期的にアクセスして確認することとなっていますが、日本版GDP素案ではアクセスできる状態を維持することのみ要求されています。したがって、日本版GDP素案のほうが緩和された要件になっているかと思います。

3.5.5章では、システム故障時等の手順を定めることが述べられていますが、日本版GDP素案ではその手順に「データ復旧」を含めること、PIC/S GDPではその対象に「データ復旧」のシステムを含めることと、若干解釈が異なる表現となっています。文字通り解釈するとPIC/S GDPの方が対象が広くなるため、すでにPIC/S GDPで対応されている会社さんについては、現状のままでも日本版GDP素案も満たすことができるかなと思います。


3.6 適格性評価及びバリデーション
本章の内容については、日本版GDP素案でもPIC/S GDPでも、ほぼ同じことが要求されていると解釈しています。


つづく




(14:39)

2018年01月17日

こんにちは

ここのところ、インフルエンザが猛威を振るっていますね

厚生労働省のツイッターでも、インフルエンザ関連が多く取り上げられています
その中で特に気になったのは、「加湿器を使いましょう」というアドバイスです。というのも現在、私の隣では昨年の大掃除で発見された加湿器が活躍中なのです。
最近では、ペーパー加湿器というものもあるそうです。小型で電気を使わず可愛いデザイン、机の上にも気軽に置いて使えそうですね




さて、年末年始を挟んでしまいましたが、今日からまた2016年度日本版GDPガイドライン素案とPIC/S GDPの読み比べ連載を再開したいと思います。今回は「第3章 設備及び機器」の前半部分を見ていってみます。

<第3章 設備及び機器>
3.2 施設
PIC/S GDPの3.2.2章、卸売販売業者が直接運営していない施設との契約に関する事項が、日本版GDP素案では削除され欠番となっています。この意図はよくわからないのですが、「文書化された契約を締結する」ということはすでに現在でも行われていることだと思いますので、特にGDP対応での影響はないかなと思います。

日本版GDP素案3.2.3章では、医薬品の保管に関し、「他のもの」と区別することとされています。ここでの「他のもの」とは、「医薬品以外のもの」または「医薬品の他製品」の2通りの解釈ができるかと思います。一方、PIC/S GDPの同章では「医薬品以外のもの」と隔離することが求められていると理解しています。そのため、日本版GDP素案で「医薬品の他製品」と解釈した場合は、より厳しい要件になってしまうかなと思います。


続いて、日本版GDP素案3.2.7章では、受入れ区域と発送区域について、気象条件の影響から保護する構造が求められています。そのため、具体的にどのような対策がなされているか、説明できるようにしておくことをお勧めします。

さらに、日本版GDP素案3.2.8章では、無許可の者の立ち入りについてPIC/S GDPよりも緩和され、立入り可能な場所を設けることができる表現となっています。ということはつまり、SOP等にて無許可の者による立入りの可否について、明確に区域を示すことが必要になるかなと思います。

最後に、3.2.9章では、PIC/S GDPでは清掃計画と指示書を作成することとなっていますが、日本版GDP素案では清掃の手順書を作成することとなっています。定常的な作業であれば手順書の方が都度作成する必要がないため、日本版GDP素案に従うことにより、効率的になるだろうと思います。



3.3 温度及び環境管理
温度モニタリング機器や温度センサーの設置について、日本版GDP素案も基本的にはPIC/S GDPと同じ考え方となっていますが、補足にてより具体的な説明がなされています。
温度マッピングの再実施のタイミングについては、日本版GDP素案の方が少し厳しくなっていて、リスク評価の結果によっては定期的に温度マッピングを実施することが必要となりそうです。


つづく





(15:52)

2017年12月26日

メリークリスマス

さてさて、クリスマス気分を引きずりながらも、前回の続きを進めたいと思います。今回は「第1章 品質マネジメント」と「第2章 職員」を見ていってみます。

<第1章 品質マネジメント>
1.2 品質システム
品質システムの対象となる業務として、PIC/Sでは製品の完全性とともに品質の維持を保証する活動が含まれていますが、日本版GDP素案では品質は含まれず、完全性の維持のみとなっています。
また、品質システムが保証する対象として、日本版GDP素案では輸出入が除外されています。

1.3 外部委託業務の管理
日本版GDP素案では、契約委託者に対し、評価のみならず業務自体にも品質システムおよび品質リスクマネジメントを適用することとなっています。
外部委託業務関連については、厚労科研の研究報告の添付2-1「PIC/S GDPの質疑応答」にて、EFPIA及びGRIPに対しても様々な角度から質問がなされています。このような点からも注目されている課題であると思われます。


<第2章 職員>
2.2 一般
代行者の任命について、PIC/Sと日本版GDP素案とでは若干ニュアンスが違うようにも読み取れます。しかし、いずれにしろGMPにおける代行者の任命と同じ考え方で問題ないと思います。

2.3 責任者の任命
責任者の責務として、PIC/Sでは「下請け業務を承認する」となっていますが、日本版GDP素案では「外部業者等に委託する業務を確認する」となっています。日本版GDP素案のほうがより、前述1.3にあるようにリスクマネジメントを適用するなどして、適切な頻度の供給者監査にて対応可能だと読み取れるかなと思います。

2.4 教育訓練
日本版GDP素案では、経営陣に対する教育も追加されています。
この経営陣に対する要求事項については、今後(2017年度)の課題としても挙げられています。偽造医薬品混入事件の背景もあり、経営陣による積極的な参加がより求めらる状況になるだろうと思われます。


つづく





(10:22)

2017年12月22日

こんにちは

先日、駅に行列ができていたのでつられて並んでみたところと、年末ジャンボ宝くじの列でした。
最近は通常の宝くじとミニに加え、プチ枠もできたんですね。
目新しさに惹かれ、ついついプチバラを10枚買ってしまいました。

今年の年末ジャンボは本日12/22まで購入できます。
うっかり買い忘れてしまっていた方、宝くじ売り場へお急ぎください


さて、本日から
2016年度日本版「GDPガイドライン素案」の内容をPIC/S GDPと比べながら具体的に確認していってみたいと思います。とその前に、前回記載した全体の所見に一つ追加です。

・GMPやGQPとして対応すべき事項は、日本版GDP素案からは除かれている。
前回の記事にも追記しておきます


ということで、ここからが今日の本題です。日本版GDP素案を順に見ていってみましょう

<諸言>
PIC/Sよりも簡素化されていて、制定の背景、各当局での取り扱い、対象となる従事者、輸出入に関係する事項は記載されていません。
また、PIC/Sでは偽造医薬品の流入防止が一番の目的となっていますが、日本版GDP素案では流通経路の管理を保証する結果としての医薬品の完全性保持が一番の目的で、偽造医薬品の流入防止はそれに続く位置付けのように解釈できます。

<目的>
ガイドラインの作成理由として、PIC/Sでは医薬品流通過程の完全性を保証するとともに、高水準の品質保証の維持も謳われていますが、日本版GDP素案では品質保証に関する言及がありません。
品質に関しては、この後数か所でもPIC/Sで「品質と完全性」と言われている箇所が、日本版GDP素案では「完全性」のみとなっているため、意図的に除かれているようです。

<適用範囲>
PIC/Sでは適用範囲として対象医薬品が定められていますが、日本版GDP素案では、対象業務が定められています。なお、日本版における対象医薬品については、今後の課題として挙げられています。
(体外診断用医薬品、輸血用血液製剤、再生医療等製品、医療用ガス、治験薬)


つづく




(10:43)

2017年12月18日

こんにちは

先週はブログをサボってしまいました
楽しみにしてくださっていた方(がいらっしゃいましたら)、申し訳ございません。

実は先週の金曜日、2016年度の厚生労働省科学研究で作成された「GDPガイドライン(案)」を見つけてしまい、急いでその内容を整理していました。
厚生労働省科学研究成果の報告書はこちら(厚生労働省のHP)
http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD02.do?resrchNum=201623004A

今はデータインテグリティに関するMHRAブログをご紹介しているシリーズの最中なのですが、しばらくはこのGDPガイドライン(案)の記事を優先させていただきたいと思います。(もし先が気になる方がいらっしゃいましたら、個別にご連絡くだされば特別にネタバレで情報をご提供いたします


では、さっそく「2016年度版GDPガイドライン(案)」の本題に入りたいと思います。
今日はGDPガイドライン(案)を全体的な目線でまとめてみます。
あくまでも私的な所見・所感なので、参考程度に見ていただけると幸いです。

・基本的には、構成、内容ともPIC/Sとほぼ同じ。
・日本の状況に合わせた内容となっているため、PIC/Sよりもわかりやすい。
・順守するには国内の関連する法規制の知識が必要。
・PIC/Sと比べて効率的・簡略化できる活動あり。
 (外部委託業務の確認、温度マッピング、取引状況の監視、倉庫運用、製品情報の記録など)
・輸出入に関する要件はなし(対象外)
・CSVについては、GMPと同レベル
 (「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」を参考にするとのこと)
・PIC/Sで「医薬品の品質と完全性」だった箇所が「医薬品の完全性」となっている
 (品質は完全性に含まれる?GMPやGQPの範疇?)
・GMPやGQPで対応すべき事項は、除かれている(2017/12/22追記)

などなど。。。

また、本シリーズに向けて、GDPガイドライン(案)と同時に報告されている「PIC/S GDPガイドライン日本語翻訳案」との相違点を整理した資料を作りました。

そこでの集計結果をちょこっとご紹介いたします。

<PIC/S翻訳案とGDPガイドライン案との比較>
完全一致:81件(36.5%)
意味一致:44件(19.8%)
意味ほぼ同じ(Action同じ):38件(17.1%)
意味相違(Action相違):36件(16.2%)
内容追加:6件(2.7%)
内容削除:17件(7.7%)

お恥ずかしながら集計単位が曖昧なので正確な数値ではありませんが、大部分がPIC/Sと同じなんだなぁと感じていただければよいかなと思っています。

次回からは、PIC/Sとの相違点を章ごとにもう少し具体的に見ていってみようと思います。


つづく




(18:04)

2016年01月26日

こんにちは

今日は宣伝?からです。

来る3月11日に情報機構様主催の「実践CSV入門」のセミナーで講師を務めさせていただくこととなりました。今回は2回目となるので、前回よりは肩の力を抜いて硬くならずにできるといいなと思っています。

セミナーの情報です↓
●日時 2016年3月11日(金) 12:30-16:30
●会場 東京・京急蒲田 大田区産業プラザ(PiO)6階G会議室
●受講料 1名41,040円(税込(消費税8%)、資料付)

ご興味がある方は、こちらのページで詳細をご確認いただければと思います。
http://www.johokiko.co.jp/seminar_medical/AA160335.php


それでは、今回はPIC/S GDPの翻訳、とうとう最後の記事となりました。
振りかえれば9月から全25本の大プロジェクトとなってしまいました。

*~*~*~* ~*~*~* ここから、PIC/S GDP翻訳 *~*~*~* ~*~*~*
本記事の内容は、筆者が個人的に翻訳したものです。
最終的には読者様の責任でご判断をお願いします。


PIC/S GUIDE TO GOOD DISTRIBUTION PRACTICE
FOR MEDICINAL PRODUCTS

PIC/S 医薬品GDPガイド


9.1 PRINCIPLE
9.3 容器、包装及びラベル表示

9.3.1
Medicinal products should be transported in containers that have no adverse effect on the quality of the products, and that offer adequate protection from external
influences, including contamination.

医薬品は製品の品質に悪影響がなく、汚染を含む外的要因から適切に保護する容器を用いて輸送しなければならない。

9.3.2
Selection of a container and packaging should be based on the storage and transportation requirements of the medicinal products; the space required for the amount of medicines; the anticipated external temperature extremes; the estimated maximum time for transportation including transit storage at customs; the qualification status of the packaging and the validation status of the shipping containers.
容器及び包装の選択は、次に挙げる医薬品の保管及び輸送要件に基づいていなければならない。
医薬品総数に対して必要となるスペース、期待される最高最低気温、顧客側での一時保管を含む見積り最大輸送時間、包装の適格性評価の状況、及び配送容器のバリデーション状況。
 

9.3.3
Containers should bear labels providing sufficient information on handling and storage requirements and precautions to ensure that the products are properly handled and secured at all times. The containers should enable identification of the contents of the containers and the source.
容器には、製品が常に適切に取り扱われ、保護されることを保証するために取り扱い及び保管要件に関する十分な情報及び使用上の注意を表示しなければならない。 



9.4 PRODUCTS REQUIRING CONTROLLED CONDITIONS
9.4 特別な管理を要する製品

9.4.1
In relation to deliveries containing medicinal products requiring special conditions such as narcotics or psychotropic substances, the wholesale distributor should maintain a safe and secure supply chain for these products in accordance with requirements laid down in national legislation. There should be additional control systems in place for delivery of these products. There should be a protocol to address
the occurrence of any theft.
麻薬や向精神薬のような特殊な条件を要する医薬品の配送では、卸売業者は、各国の法令で定められている要件に従って、該当製品の流通経路を安全確実に維持しなければならない。該当製品の配送においては、付加的な管理システムを構築しなければならない。盗難発生時の対応に関する手順を整備しなければならない。

9.4.2
Medicinal products comprising highly active and radioactive materials should be transported in safe, dedicated and secure containers and vehicles. The relevant safety measures should be in accordance with international agreements and national legislation.
高活性及び放射性物質から成る医薬品は、専用の保護された容器及び車両で安全に輸送しなければならない。関連する安全対策は、国際協定及び各国の法令に従って実施しなければならない。。

9.4.3
For temperature-sensitive products, qualified equipment (e.g. thermal packaging, temperature-controlled containers or temperature controlled vehicles) should be used to ensure correct transport conditions are maintained between the manufacturer, wholesale distributor and customer.
wholesale distributor and customer.
温度による影響を受ける製品については、製造業者から卸売業者、そして顧客に渡るまでの間、製品を適性な輸送条件下にて維持することを保証するために、適格性評価を実施した装備(保冷容器、温度調整容器又は温度調整車両)を使用しなければならない。

9.4.4
If temperature-controlled vehicles are used, the temperature monitoring equipment used during transport should be maintained and calibrated at regular intervals. Temperature mapping under representative conditions should be carried out and should take into account seasonal variations, if applicable.
温度調整車両を使用する場合は、輸送中に使用する温度監視装置の保守及び定期的な校正を行わなければならない。必要に応じて季節変動を考慮し、代表的な条件下にて温度マッピングを実施しなければならない。

9.4.5
If requested, customers should be provided with information to demonstrate thatproducts have complied with the temperature storage conditions.
要求に応じ、製品が保管温度条件内にあったことを示す情報を顧客に提供しなければならない。

9.4.6
If cool packs are used in insulated boxes, they need to be located such that the product does not come in direct contact with the cool pack. Staff must be trained on the procedures for assembly of the insulated boxes (seasonal configurations) and on the reuse of cool packs.
断熱容器に保冷剤を使用する場合は、保冷剤が製品に直接接触しないように配置しなければならない。従業員は(季節に応じた)断熱容器の組み合わせ組み立て及び保冷剤の再利用について訓練を受けなければならない。

9.4.7
There should be a system in place to control the reuse of cool packs to ensure that incompletely cooled packs are not used in error. There should be adequate physical segregation between frozen and chilled ice packs.
冷却が不完全な保冷剤を誤って使用しないように、再利用する保冷剤の管理に関する仕組みを整備しなければならない。冷凍保冷剤と冷蔵保冷剤とを適切な状態で物理的に分離しなければならない。

9.4.8
The process for delivery of sensitive products and control of seasonal temperature variations should be described in a written procedure.
不安定な製品の配送過程及び季節別温度変動に伴う管理過程の手順書を作成しなければならない。


<完>

*~*~*~* ~*~*~* PIC/S GDP翻訳 ここまで *~*~*~* ~*~*~*
原文はPIC/Sのウェブサイトより入手可能です。
http://www.picscheme.org/publication.php


前回から引き続いて「9章 輸送」を見てきましたが、JGSP(※3)でも同様の目的で「2.配送業務」があります。

JGSPと比べると、PIC/S GDPでは医薬品が適切な状態であったことを実証することが強く求められているように思います。つまり、手順を確立し、その手順を遵守して記録を残すことが全般に的に言われています。特に温度管理や保管容器、保冷剤などについては、バリデーションをして保証することになります。

と言われても、何から手を付けてよいかわからない、、、という方は、まずは温度計の管理から始めてみてはいかがでしょう。

PIC/S GDPでは常に正しい温度を記録できるように定期的に校正を実施するよう言われています。リスクベースドアプローチに基づいて、どこで厳密な温度管理が必要となるか優先順位をつけ、そこで使用されている温度計の管理手順書を作成し、定期的に校正する仕組みを作っていく、というような流れになるのではないかなと思います。

最後に、もし温度管理システムなどのバリデーションを実施してみようという、でもどうすればいいいんだろう、とお困りの会社さんがいらっしゃいましたら、ぜひオモロにご相談ください。お客様に合わせたCSVをご提案いたします

※1:
PIC/Sとは、
製薬会社に対する査察を協力して行おうとする各国の査察機関の集まりです。

※2:
GDPとは、
「Good Distribution Practice」の略で、 医薬品の流通に関する基準のことです。

※3:
JGSPとは、
「Japanese Good Supplying Practice」の略で、一般 社団法人 日本医薬品卸売業連合会が発行している医薬品卸売業界における実践規範のことです。



(11:19)

2016年01月22日

こんにちは
気付けば西日が差し込む時間となってしまいました。

昨日、愛読のYahoo!ニュースで恐ろしいニュースが掲載されました。

いろいろな場所に設置されている監視カメラ、設置した人が買った時のままパスワードを変更せずにいると、世界中の人に見られてしまうようです
そして、ロシアのあるサイトでは、ご親切にもそのような監視カメラの情報を集め、公開してくれています

怖いもの見たさで少し覗きに行ったら、日本の監視カメラの映像が非常に多く公開されていました。なんと、アメリカに次いで2番目の数です。

皆さん気を付けてくださいね、と言いたいところですが、私自身も普段はあまり監視カメラの位置を意識して生活していないので、気付かないうちに全世界に公開されているってこともありそうです。

とりあえず、エレベータでは一人しか乗っていなくても外向けを装っていようと思います。


それでは、今回はPIC/S GDPの翻訳、最終章「輸送」です。
最終章は2回に分けてお伝えします。

*~*~*~* ~*~*~* ここから、PIC/S GDP翻訳 *~*~*~* ~*~*~*
本記事の内容は、筆者が個人的に翻訳したものです。
最終的には読者様の責任でご判断をお願いします。


PIC/S GUIDE TO GOOD DISTRIBUTION PRACTICE
FOR MEDICINAL PRODUCTS

PIC/S 医薬品GDPガイド


9.1 PRINCIPLE
9.1 原則

9.1.1
It is the responsibility of the supplying wholesale distributor to protect medicinal products against breakage, adulteration, theft and to ensure that temperature conditions are maintained within acceptable limits during transport.

供給元となる卸売業者は、医薬品を破損、不純物の混入、盗難から保護し、輸送期間において温度を許容範囲内に維持することに対する責任を負う。

9.1.2
Regardless of the mode of transport, it should be possible to demonstrate that the medicines have not been exposed to conditions that may compromise their quality and integrity. A risk-based approach should be utilised when planning transportation.
輸送方式にかかわらず、品質と完全性を低下させる恐れのある状態に医薬品がさらされていなかったことを実証できなければならない。輸送の計画を立てる際は、リスクベースドアプローチを活用しなければならない。 


9.2 TRANSPORTATION
9.2 輸送

9.2.1
The required storage conditions for medicinal products should be maintained during transportation within the defined limits as described on the outer packaging and/or relevant packaging information.
医薬品の保管条件は、外包装に表示されている既定の条件及び/又は関連の包装情報に従って
輸送中も維持されなければならない。

9.2.2
If a deviation such as temperature excursion or product damage has occurred during transportation, this should be reported to the distributor and recipient of the affected medicinal products. A procedure should also be in place for investigating and handling temperature excursions.
輸送中に発生した温度逸脱や製品破損等の逸脱については、当該医薬品に関わる卸売業者及び受領者に報告しなければならない。温度逸脱の調査及び取り扱いに関する手順書を整備しなければならない。

9.2.3
It is the responsibility of the wholesale distributor to ensure that vehicles and equipment used to distribute, store or handle medicinal products are suitable for their use and appropriately equipped to prevent exposure of the products to conditions that could affect their quality and packaging integrity.
卸売業者は、医薬品の配送、保管及び取り扱いにて使用する車両及び設備が、用途に適しており、品質及び包装の完全性に影響を及ぼす状態に製品をさらすことがないよう適切に装備されていることに責任を持つこと。

9.2.4
There should be written procedures in place for the operation and maintenance of all vehicles and equipment involved in the distribution process, including cleaning and safety precautions.
清掃や安全対策を含む配送過程に関わる全ての車両及び設備について、操作及び維持するための手順書を整備しなければならない。

9.2.5
Risk assessment of delivery routes should be used to determine where temperature controls are required. Equipment used for temperature monitoring during transport within vehicles and/or containers, should be maintained and calibrated at regular intervals.
温度管理が必要となる場所を決定する際には、配送ルートのリスク評価を行わなければならない。輸送中における車両内及び/又は容器内の温度監視にて使用する装置は、定期的な間隔で校正し、維持しなければならない。

9.2.6
Dedicated vehicles and equipment should be used, where possible, when handling medicinal products. Where non-dedicated vehicles and equipment are used procedures should be in place to ensure that the quality and integrity of the medicinal product will not be compromised.
医薬品を取り扱う際は、可能であれば、専用の車両及び設備を使用すること。専用ではない車両や設備を利用する場合は、医薬品の品質及び完全性が低下しないことを保証するために手順書を整備しなければならない。

9.2.7
Deliveries should be made to the address stated on the delivery note and into the care or the premises of the consignee. Medicinal products should not be left on alternative premises.
配送記録に記載されている住所へ、荷受人宛又は荷受人の建物まで配送しなければならない。医薬品を別の建物に放置してはならない。

9.2.8
For emergency deliveries outside normal business hours, persons should be designated and written procedures should be available.
営業時間外の緊急配送に備え、担当者を指名し、利用可能な手順書を整備しておかなければならない。

9.2.9
Where transportation is performed by a third party, the contract in place should encompass the requirements of Chapter 7. Transportation providers should be made aware by the wholesale distributor of the relevant transport conditions applicable to the consignment. Where the transportation route includes unloading and reloading or transit storage at a transportation hub, particular attention should be paid to temperature monitoring, cleanliness and the security of any intermediate storage facilities.
第三者が輸送を行う場合は、7章の要件を網羅して契約を交わさなければならない。輸送業者は受託品に関する輸送条件について、卸売業者より通知されなければならない。荷下ろしや再積み込み又は輸送中継地での一時保管では、中間保管施設の温度監視、清浄度及び安全対策に関して、特に注意を払わなければならない。

9.2.10
Provision should be made to minimise the duration of temporary storage while awaiting the next stage of the transportation route.
次段階の配送ルートへ引き渡されるまでの一時的な保管を最短とするために、対策を講じなければならない。

つづく

*~*~*~* ~*~*~* PIC/S GDP翻訳 ここまで *~*~*~* ~*~*~*
原文はPIC/Sのウェブサイトより入手可能です。
http://www.picscheme.org/publication.php



※1:
PIC/Sとは、
製薬会社に対する査察を協力して行おうとする各国の査察機関の集まりです。

※2:
GDPとは、
「Good Distribution Practice」の略で、 医薬品の流通に関する基準のことです。




(16:59)

2016年01月19日

こんにちは

本日のニュース、まずはこれ、
SMAP解散危機を回避!
これで日本国民、ひと安心ですね

国民的アイドルの次は、一般市民のお話に戻り、、、

今朝は溶けきらずに残っていた雪のせいで、通勤中に何度か滑ってしまいました
昨日は気合を入れてスノーブーツを装着していたのですが、今日は完全に油断していました。
これからまだまだ寒い時期が続きます。皆さんも雪道&凍った路面にはくれぐれもお気を付けください。


さて、今回もPIC/S GDPの翻訳を前回に引き続きご紹介します。
残すはあと2章。ラストスパートで頑張ります!

*~*~*~* ~*~*~* ここから、PIC/S GDP翻訳 *~*~*~* ~*~*~*
本記事の内容は、筆者が個人的に翻訳したものです。
最終的には読者様の責任でご判断をお願いします。


PIC/S GUIDE TO GOOD DISTRIBUTION PRACTICE
FOR MEDICINAL PRODUCTS

PIC/S 医薬品GDPガイド


8.1 PRINCIPLE
8.1 原則

Self-inspections should be conducted in order to monitor implementation and compliance with GDP principles and to propose necessary corrective measures.
GDP原則の遵守を監視し、是正処置の必要性を提言するために自己点検を実施しなければならない。


8.2 SELF-INSPECTIONS
8.2 自己点検

8.2.1 A self-inspection programme should be implemented covering all aspects of GDP and compliance with the regulations, guidelines and procedures within a defined time frame. Self-inspections may be divided into several individual self-inspections of limited scope.
GDPのあらゆる側面について、規制、ガイドライン、手順書を遵守して、定められた時間枠内で自己点検を実施しなければならない。自己点検を複数に分けて、限定した範囲内で個別に実施してもよい。


8.2.2 Self-inspections should be conducted in an impartial and detailed way by designated competent company personnel. Audits by independent external experts may also be useful but may not be used as a substitute for self-inspection.
自己点検は、社内で指定され、能力のある者によって、公平かつ詳細な方法で実行されなければならない。外部専門家による独立した監査は有用であるが、自己点検の代わりとすることはできない。


8.2.3 All self-inspections should be recorded. Reports should contain all the observations made during the inspection. A copy of the report should be provided to the management and other relevant persons. In the event that irregularities and/or deficiencies are observed, their cause should be determined and the corrective and preventive actions (CAPA) should be documented and followed up.
すべての自己点検を記録しなければならない。報告書には自己点検中になされたすべての指摘事項を含まなければならない。不正及び/又は不備が観察された場合には、原因を特定し、是正処置、予防処置(CAPA)を文書化し、追跡調査しなければならない。


つづく

*~*~*~* ~*~*~* PIC/S GDP翻訳 ここまで *~*~*~* ~*~*~*
原文はPIC/Sのウェブサイトより入手可能です。
http://www.picscheme.org/publication.php


製薬会社さんなど、GxPの中でお仕事されている方にとっては、いつもの「自己点検」です。そのため、現在お持ちの自己点検の手順書をほぼそのまま採用することで、この章の対応は可能かなと思います。

一方、GxP未経験の方は、「自己点検」という言葉から本来の目的を誤解してしまうかもしれないため、気を付けてください。
「自己点検」というと、担当者が自身で実施した作業を点検・確認するイメージを持ってしまうかもしれませんが、ここでの「自己点検」とは、どちらかというと「内部監査」に近い内容となります。

具体的には、対象業務を理解している責任者や自己点検の担当者が、規制要件や社内規定通りに業務が行われていることを、事前に作成したチェックリストなどを用いて確認することとなります。


※1:
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製薬会社に対する査察を協力して行おうとする各国の査察機関の集まりです。

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GDPとは、
「Good Distribution Practice」の略で、 医薬品の流通に関する基準のことです。




(10:11)

2016年01月08日


明けましておめでとうございます
本年もCSVブログ共々どうぞよろしくお願いいたします

年末のご挨拶もできずに、気付けば2016年に入り1週間が経ってしまいました。
のんびりとしたスタートとなってしまいましたが、今年もマイペースで続けていければと思っています。


さて、年をまたいでしまいましたが、今回もPIC/S GDPの翻訳を引き続きご紹介します。

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本記事の内容は、筆者が個人的に翻訳したものです。
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PIC/S GUIDE TO GOOD DISTRIBUTION PRACTICE
FOR MEDICINAL PRODUCTS

PIC/S 医薬品GDPガイド


7.1 PRINCIPLE
7.1 原則

Any activity covered by the GDP Guide that is outsourced should be correctly defined, agreed and controlled in order to avoid misunderstandings which could affect the integrity of the product. There must be a written Contract between the Contract Giver and the Contract Acceptor which clearly establishes the duties of each party.
GDPガイドの対象となる外部委託業務は、製品の完全性に影響を及ぼす誤解を回避するため、正しく定義し、合意し、管理しなければならない。契約委託者と契約受託者の間で、それぞれの責務を明確に定めた契約書を交わす必要がある。



7.2 CONTRACT GIVER
7.2 契約委託者

7.2.1
The Contract Giver is responsible for the activities contracted out.
契約委託者は、外注した活動について責任を負う。


7.2.2
The Contract Giver is responsible for assessing the competence of the Contract Acceptor to successfully carry out the work required and for ensuring by means of the contract and through audits that the principles and guidelines of GDP are followed. An audit of the Contract Acceptor should be performed before commencement of, andwhenever there has been a change to, the outsourced activities. The requirement for audit and frequency should be defined based on risk depending on the nature of the outsourced activities. Audits should be permitted at any time.
契約委託者は、受託者が求められる作業を適切に実施する能力の評価を行う責任があり、また、監査を通じてGDPの原則及びガイドラインが遵守されることに対して責任を負う。契約受託者に対する監査は、委託業務の開始または変更前に実施しなければならない。監査の必要性と頻度は、委託業務の性質によってリスクを基に定めなければならない。


7.2.3
The Contract Giver should provide the Contract Acceptor with all the information necessary to carry out the contracted operations in accordance with the specific product requirements and any other relevant requirements.
契約委託者は、特殊な製品の要件やその他の関連要件に従って、契約業務を実施する上で必要となるあらゆる情報を契約受託者に提供しなければならない。





7.3 CONTRACT ACCEPTOR
7.3 契約受託者

7.3.1
The Contract Acceptor is responsible for the activities covered by GDP and delegated by the Contract Giver.
契約受託者は、GDP対象である契約委託者によって委託された業務について責任を負う。


7.3.2
The Contract Acceptor should have adequate premises and equipment, procedures, knowledge and experience, and competent personnel to carry out the work ordered by the Contract Giver.
契約受託者は、契約委託者から発注された業務を実施するための適切な構造設備、知識及び経験、ならびに有能な人員を有していなければならない。


7.3.3
The Contract Acceptor should not pass to a third party any of the work entrusted to him under the contract without the Contract Giver’s prior evaluation and approval of the arrangements and an audit of the third party by the Contract Giver or the Contract Acceptor. Arrangements made between the Contract Acceptor and any third party should ensure that the wholesale distribution information is made available in the same way as between the original Contract Giver and Contract Acceptor.
契約受託者は、委託された業務のいかなる部分も、取り決めについての委託者の事前の評価及び承認なしには第三者に委託してはならない。契約受託者及びいかなる第三者との間で行われた取り決めも、卸売販売に関する情報が、当初の委託者及び受託者間と同様に利用可能であることを保証しなければならない。


7.3.4
The Contract Acceptor should refrain from any activity which may adversely affect the quality of the product(s) handled for the Contract Giver.
契約受託者は、委託者のために取り扱う製品の品質に悪影響を及ぼす可能性のある行為を行ってはならない。


7.3.5
The Contract Acceptor must forward any information that can influence the quality of the product(s) to the Contract Giver in accordance with the requirement of the contract.
契約受託者は、契約での要件に従って、製品の品質に影響を及ぼす情報を委託者に上げなければならない。


つづく

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原文はPIC/Sのウェブサイトより入手可能です。
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PIC/S GDPでは医薬品の品質保証や偽造医薬品の混入回避の観点などから、外部委託についてもしっかり管理するように要求されています。
こちらの記事にもありますように、輸送業者との契約の整備や書面による監査から着手している会社さんもあるようです。
まずはできることからでも構わないと思いますので、外部委託業務の活動を保証することも意識していただければと思います。


※1:
PIC/Sとは、
製薬会社に対する査察を協力して行おうとする各国の査察機関の集まりです。

※2:
GDPとは、
「Good Distribution Practice」の略で、 医薬品の流通に関する基準のことです。




(14:37)

2015年12月22日

こんにちは

先週、念願の北陸新幹線で富山に行ってきました!!
往路は「かがやき」に乗って、2時間ほどであっという間に到着です。
帰路の車内では、隣席の知らないおじさまのシートを間違って戻してしまうというプチハプニングもありましたが、とても快適に過ごすことができました。

さて、今回もPIC/S GDPの翻訳を前回に引き続きご紹介します。

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本記事の内容は、筆者が個人的に翻訳したものです。
最終的には読者様の責任でご判断をお願いします。


PIC/S GUIDE TO GOOD DISTRIBUTION PRACTICE
FOR MEDICINAL PRODUCTS

PIC/S 医薬品GDPガイド


6.4 FALSIFIED MEDICINAL PRODUCTS
6.4 偽造医薬品

6.4.1
The sale and distribution of a suspected falsified medicinal product should be suspended immediately.
偽造が疑われる医薬品の販売及び配送は、直ちに中止しなければならない。

6.4.2
Wholesale distributors must immediately inform the competent authority and the marketing authorisation holder of any medicinal products they identify as falsified or suspect to be falsified and act on the instructions as specified by the competent authority. A procedure should be in place to this effect. It should be recorded with all the original details and investigated.
卸売業者は、偽造や偽造が疑われると判断されたいかなる医薬品について、所轄官庁及び製造販売業者へ直ちに報告し、所轄官庁が規定した手順の通りに行動しなければならない。この趣旨を盛り込んで手順書を整備しなければならない。あらゆる詳細を示した原本や調査を記録しなければならない。
 
6.4.3
Any falsified medicinal products found in the supply chain should immediately be physically segregated and stored in a dedicated area away from all other medicinal products and be appropriately labelled. All relevant activities in relation to such products should be documented and records retained.
流通経路中で偽造医薬品が発見された場合は、直ちに物理的に隔離し、その他の医薬品から離れた指定区域に保管し、適切に表示しなければならない。この活動は全て文書化し、記録を残さなければならない。

6.4.4
Upon confirmation as a falsified medicinal product, a formal decision should be taken on removal of such product from the market, ensuring that it does not re-enter the supply chain, including retention of any samples necessary for public health, regulatory, or legal needs and arrangements for its disposal. All related decisions should be appropriately documented.
偽造医薬品と確認された場合は、市場からの排除に関する事項、国民の安全確保や規制対応、または法令遵守のためにサンプル保持は必要であるが、それらも含めた流通経路への再混入を防止するための事項、そして廃棄の調整に関する事項について、正式な決定をしなければならない。関連する全ての決定を適切に文書化しなければならない。


6.5 MEDICINAL PRODUCT RECALLS
6.5 医薬品の回収

6.5.1
There should be documentation and procedures in place to ensure traceability of products received and distributed, to facilitate product recall.
製品の回収を円滑に実施するために、製品の受領及び配送の追跡を確実にする文書及び手順書を整備しなければならない。

6.4.1
The sale and distribution of a suspected falsified medicinal product should be suspended immediately.
偽造が疑われる医薬品の販売及び配送は、直ちに中止しなければならない。

6.5.2
In the event of a product recall, all customers to whom the product has been distributed shall be informed with the appropriate degree of urgency and clear actionable instructions.
製品回収の際には、製品が配送された全ての顧客に対し、緊急性の度合いと明確な指示を伝えなければならない。

6.5.3
The national regulatory authority should be informed of all product recalls. If the product is exported, the overseas counterparts and/or regulatory authorities must be informed of the recall as required by national legislation.
全ての製品回収を各国の規制当局に連絡しなければならない。輸出製品の場合、国の法令に従って、海外の取引先及び/又は規制当局に回収を連絡する必要がある。

6.5.4
The effectiveness of the arrangements for product recall should be evaluated regularly (at least annually).
製品回収の手続きの有効性は定期的(少なくとも1年毎)に評価しなければならない。

6.5.5
Recall operations should be capable of being initiated promptly and at any time.
回収作業はいつでも直ちに開始できなければならない。

6.5.8
The distribution records should be readily accessible to the person(s) responsible for the recall, and should contain sufficient information on distributors and directly supplied customers (with addresses, phone and/or fax numbers inside and outside working hours, batch numbers as required by national legislation and quantities delivered), including those for exported products and medicinal product samples (if permitted by national legislation).
配送記録は回収の責任者によって容易に入手できる状態となっていなければならず、さらに、輸出製品やサンプル医薬品(規制当局で許可されている場合)も対象とし、配送業者及び直接供給先の顧客に関する十分な情報を含んでいなければならない。(住所、営業時間内外の電話番号及び/又はFAX番号、各国の法令で定められている場合はバッチ番号、配送済数量)

6.5.9
The progress of the recall process should be recorded for a final report including
reconciliation of the recalled product.
回収作業の進捗状況は、回収された製品の照合結果とともに最終報告書に記録しなければならない。



つづく

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原文はPIC/Sのウェブサイトより入手可能です。
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JGSPでは、2015年1月に「8. 不正流通の防止について」の章が追加されました。そこでは紛失や盗難の対策を中心にまとめられています。

PIC/S GDPと比べると、お国柄のせいか、偽造医薬品の対策については特に言及されていません。
日本国内のみの流通の場合は、そこまで慎重にならなくてもよいかもしれませんが、輸出入品を取り扱う場合には、偽造医薬品混入についても意識するようにしてみてください。

回収については、JGSPでも安全管理業務の一環として詳細な手順等がまとめられています。ただし、ここでは不良品等の回収が主な目的としてまとめられているため、偽造医薬品を目的とした回収も含めて検討する際は追加の考慮が必要です。


※1:
PIC/Sとは、
製薬会社に対する査察を協力して行おうとする各国の査察機関の集まりです。

※2:
GDPとは、
「Good Distribution Practice」の略で、 医薬品の流通に関する基準のことです。



(13:28)

2015年12月14日

こんにちは


最近、お弁当にあこがれの朝摘みミニトマトを入れられるようになりました。

そうです、春頃から何度か登場していたあのミニトマトです
かれこれ数カ月、こんな日が来ることを待ち望んで頑張ってきました。
お弁当にいろどりを、今朝も優雅にそんなひとときを過ごしてから出勤です。

青々としたトマトがまだまだ待機中です。
年末年始のお休み中に赤くならないように、今は少しだけペースを落としてもらいたいところです。


さて、今回もPIC/S GDPの翻訳を前回に引き続きご紹介します。

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本記事の内容は、筆者が個人的に翻訳したものです。
最終的には読者様の責任でご判断をお願いします。


PIC/S GUIDE TO GOOD DISTRIBUTION PRACTICE
FOR MEDICINAL PRODUCTS

PIC/S 医薬品GDPガイド


6.1 PRINCIPLE
6.1 原則

All complaints, returns, suspected falsified medicinal products and recalls must be recorded and handled carefully according to written procedures. Records should be made available to the competent authorities. An assessment of returned medicinal products should be performed by designated personnel before any approval for resale. A consistent approach by all partners in the supply chain is required in order to be successful in the fight against falsified medicinal products.
あらゆる苦情、返品、偽造が疑われる医薬品及び医薬品の回収は、手順書に従って慎重に記録し、取り扱う必要がある。記録は所轄官庁が入手可能でなければならない。返品された医薬品の評価は、指定された者が再販売の承認前に実施しなければならない。物流経路に関わる全ての業者による一貫した取り組みが、偽造医薬品に立ち向かうためには必要である。



6.2 COMPLAINTS
6.2 苦情

6.2.1
Complaints should be recorded with all the original details. A distinction should be made between complaints related to the quality of a medicinal product and those related to distribution. In the event of a complaint about the quality of a medicinal product and a potential product defect, the manufacturer and/or marketing authorisation holder should be informed without delay. Any product distribution complaint should be thoroughly investigated to identify the origin of or reason for the complaint.
全ての詳細を示した原本とともに苦情を記録しななければならない。医薬品の品質に関する苦情と配送に関する苦情を区別しなければならない。医薬品の品質及び潜在的な欠陥に関する苦情の場合には、製造業者及び/又は製造販売業者に遅延なく報告しなければならない。製品配送に関する苦情の場合には、苦情の原因又は理由を特定するために徹底的な調査を実施しなければならない。


6.2.2
If a defect relating to a medicinal product is discovered or suspected, consideration should be given to whether other batches of the product should also be investigated.
医薬品に関わる欠陥が発見又は疑われた場合は、他のバッチでも調査が必要となるかどうか検討しなければならない。


6.2.3
A person should be appointed to handle complaints.
苦情処理担当者を指名しなけれなばらない。


6.2.4
If necessary, appropriate follow-up actions (including CAPA) should be taken after investigation and evaluation of the complaint, including where required notification to the national competent authorities.
必要に応じ、苦情の調査・評価後、所轄官庁への通知を含む適切な追跡活動(CAPAを含む)を実施しなければならない。

6.3 RETURNED MEDICINAL PRODUCTS
6.3 返品医薬品

6.3.1
Returned products must be handled according to a written, risk based process taking into account the product concerned, any specific storage requirements and the time elapsed since the medicinal product was originally dispatched. Returns should be conducted in accordance with national legislation, and contractual arrangements between the parties. A record/ list of returned goods must be maintained.
対象製品、特殊な保管要件及び出荷後の経過日数を考慮したリスクを基に作業を文書化し、それに従って返却された商品を取り扱わなければならない。返品は、各国の法令及び両者間で交わした契約の取り決めに従って実施すること。


6.3.2
Medicinal products which have left the premises of the distributor should only be returned to saleable stock if all of the following are confirmed:
卸業者の建物から出荷された医薬品は、以下のすべての事項を確認できた場合のみ、販売在庫に戻すことができる。

  1. the medicinal products are in their unopened and undamaged secondarypackaging and are in good condition; have not expired and have not beenrecalled;
  2. medicinal products returned from a customer not holding a wholesale distribution authorisation or from pharmacies authorised to supply medicinal products to the public should only be returned to saleable stock if they are returned within an acceptable time limit, for example 10 days;
  3. it has been demonstrated by the customer that the medicinal products have been transported, stored and handled in compliance with the specific storage requirements;
  4. they have been examined and assessed by a sufficiently trained and competent person authorised to do so;the distributor has reasonable evidence that the product was supplied to that customer (via copies of the original delivery note or by referencing invoice numbers/batch numbers, expiry date etc., as required bynational legislation), and that there is no reason to believe that the product has been falsified.
  1. 医薬品は未開封で損傷なく二次包装され、良好な状態であり、期限切れ及び回収品ではないこと。
  2. 卸業者の許可を受けていない顧客や、国民へ医薬品を供給する許可を持つ薬局から返却された医薬品は、許容期間内(例えば10日間)に返却された場合のみ、販売在庫に戻すこと。
  3. 医薬品が特殊な保管条件の通り、配送、保管、取り扱われたことが顧客によって証明されること。
  4. 十分に訓練され能力のある者によって調査及び評価されること。卸売業者は製品が顧客に供給されたことを示す合理的な証拠を保持していること。(各国の法令で要求されている配送記録原本のコピーや売買明細書番号/バッチ番号、使用期限など)製品が偽造されたことを示す理由がないこと。

6.3.3
Moreover, for medicinal products requiring specific temperature storage conditions, returns to saleable stock can only be made if there is documented evidence that the product has been stored under the authorised storage conditions throughout the entire time. If any deviation has occurred a risk assessment has to be performed, on which basis the integrity of the product can be demonstrated. The evidence should cover:
さらに、特殊な保管条件の要件がある医薬品については、製品が常に承認された保管条件の下で保管されたことを示す文書化された証拠がある場合のみ、販売在庫に戻すことができる。逸脱があった場合には、立証される製品の完全性に基づくリスク評価を実施することが必要となる。証拠には以下を含めること。
  1. delivery to customer;
  2. examination of the product;
  3. opening of the transport packaging;
  4. return of the product to the packaging;
  5. collection and return to the distributor;
  6. record of temperature readings during transportation;
  7. return to the distribution site refrigerator.
  1. 顧客への配送
  2. 製品の検査
  3. 輸送用梱包の開封
  4. 包装工程への製品返却
  5. 卸売業者への収集および返却
  6. 輸送中の温度記録
  7. 流通現場の保冷庫への返却

6.3.4
Products returned to saleable stock should be placed such that the ‘first expired first out’ (FEFO) system operates effectively.
販売在庫に戻された製品は、FEFO「先に使用期限が切れるものから先出し」を効果的に適用して保管しなければならない。


6.3.5
Stolen products that have been recovered cannot be returned to saleable stock and sold to customers.
回収した盗難品は販売在庫に戻したり、顧客に販売したりしてはならない。


つづく

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JGSPでは安全管理業務(GVP)として、医薬品の流通に関わる業者におけるモデル手順書が提示されています。ここでは、情報収集や回収、市販後調査など今回のテーマに関連する事項も取り上げられています。GVP省令に準拠した内容となっていて非常に参考になると思いますので、ぜひご覧いただければと思います。

さらにJGSPでは返品に関しての手順が紹介されています。PIC/S GDPでリスクを考慮するとなっているそのリスクについても、数点の例が挙げられており、参考になると思います。


※1:
PIC/Sとは、
製薬会社に対する査察を協力して行おうとする各国の査察機関の集まりです。

※2:
GDPとは、
「Good Distribution Practice」の略で、 医薬品の流通に関する基準のことです。





(11:14)

2015年12月07日

こんにちは

今日はプチ情報をご紹介

2016年1月13日[水]~15日[金]に東京ビッグサイトで「ウェアラブルEXPO」という展示会が開催されるそうです。
ウェアラブル装置で有名なものは腕時計型の「アップルウォッチ」だと思いますが、今回の展示会では眼鏡型の装置を用いた製品も様々の会社から紹介されていて、今注目のトピックスなんだろうなといった印象です。

業務管理・保守点検・建設・工場現場・流通等の分野での最新事例を紹介してくれるセミナーもあるそうです。
色々と役に立ちそうな製品がありそうですね。

ご興味ある方は↓のウェブサイトをご覧ください。
http://www.wearable-expo.jp/?_ga=1.25356157.1905372069.1449475248


さて、今回もPIC/S GDPの翻訳を前回に引き続きご紹介します。

*~*~*~* ~*~*~* ここから、PIC/S GDP翻訳 *~*~*~* ~*~*~*
本記事の内容は、筆者が個人的に翻訳したものです。
最終的には読者様の責任でご判断をお願いします。


PIC/S GUIDE TO GOOD DISTRIBUTION PRACTICE
FOR MEDICINAL PRODUCTS

PIC/S 医薬品GDPガイド


5.5 STORAGE
5.5 保管

5.5.1
Medicinal products and, if necessary, healthcare products should be stored separately from other products likely to alter them and should be protected from the harmful effects of light, temperature, moisture and other external factors. Particular attention should be paid to products requiring specific storage conditions.
医薬品(必要に応じてヘルスケア商品を含む)は、その他の商品と隔離して保管しなければならない。さらに、照明、温度、湿度及びその他の外的要因による悪影響から保護されなければならない。特別な保管条件を要する製品に対しては、個別に注意を払わなければならない。


5.5.2
Incoming containers of medicinal products should be cleaned, if necessary, before storage. Any activities performed on the incoming goods (e.g. fumigation) should not impact on the quality of the medicinal products.
必要に応じ、保管前に受入容器を洗浄すること。受入製品に対するいかなる活動(例えば、燻蒸消毒)も、医薬品の品質に影響を及ぼしてはならない。


5.5.3
Warehousing operations must ensure appropriate storage conditions are maintained and allow for appropriate security of stocks.
倉庫作業では、適切な保管条件が維持され、在庫の安全確保が適切であることを保証しなければならない。


5.5.4
Stock should be rotated according to the first expiry, first out (FEFO) principle.Exceptions should be documented.
在庫は使用期限が近い在庫から先に払い出されること(FEFO)を原則としなければならない。


5.5.5
Medicinal products should be handled and stored in such a manner as to prevent spillage, breakage, contamination and mix-ups. Medicinal products should not be stored directly on the floor unless the package is designed to allow such storage (such as for some medicinal gas cylinders).
医薬品は流出や破損、汚染、混同を防止する方法で取り扱い、保管されなければならない。医薬品は医療用ガスシリンダーのように直置可能な包装となっていない限り、床の上に直接保管してはならない。


5.5.6
Medicinal products that are nearing their expiry date/shelf life should be withdrawn immediately from saleable stock.
使用期限又は保存期限が近づいている医薬品は、直ちに販売可能在庫から払い出さなければならない。


5.5.7
Stock inventories should be performed regularly taking into account national legislation requirements. Stock irregularities should be investigated,documented and reported to the competent authorities when needed.
各国の法令を考慮し、定期的に在庫の棚卸を実施しなければならない。在庫の不整合は調査、文書化し、必要があれば所轄官庁に報告しなければならない。


5.6 DESTRUCTION OF OBSOLETE GOODS
5.6 商品の廃棄

5.6.1
Medicinal products intended for destruction should be appropriately identified, held separately and handled in accordance with a written procedure.
廃棄医薬品は、適切に識別、隔離保管し、手順書に従って取り扱わなければならない。


5.6.2
Destruction of medicinal products should be in accordance with national or international requirements for handling, transport and disposal of such products.
医薬品の廃棄は、各国または国際的な法令に従って取り扱い、輸送、廃棄しなければならない。


5.6.3
Records of all destroyed medicinal products should be retained for a defined period.
全ての廃棄された医薬品の記録は、定められた期間保管しなければならない。


5.7 PICKING
5.7 ピッキング

Controls should be in place to ensure the correct product is picked. The product should have an appropriate remaining shelf life when it is picked.
正しい商品がピッキングされたことを保証するために、管理環境を整備しなければならない。適切な保存期限が残っている商品をピッキングしなければならない。


5.8 SUPPLY
5.8 供給

For all supplies, a document (e.g. delivery note/packing list) must be enclosed stating the date; name and pharmaceutical dosage form of the medicinal product, batch number, expiry date, as required by national legislation; quantity supplied; name and address of the supplier, name and delivery address of the consignee (actual physical storage premises, if different) and applicable transport and storage conditions. Records should be kept so that the actual location of the product can be known.
全ての供給品には、日付が記載された文書(例えば配送記録や梱包明細)を同封する必要がある。各国の法令で要求されている医薬品の名称、用量、バッチ番号、使用期限、数量、供給者の名称及び住所、受取人の名称及び住所(異なる場合は、実際の保管施設)、輸送手段、保管条件。製品の実際の場所を把握できるように記録を残さなければならない。


5.9 IMPORT AND EXPORT
5.9 輸出入

5.9.1
Import and export activities should be conducted in accordance with national legislation and with international guidelines or standards when appropriate. This is also the case if the wholesale distributor is holding medicinal product in a free zone. Wholesalers should take the appropriate measures in order to prevent medicinal products not authorised for the internal market and intended for export from reaching the internal market.
適切な場合、各国の法令及び国際的なガイドラインや標準に従って輸出入業務を実施しなければならない。これは卸業者が自由貿易区域に医薬品を保管している場合も対象となる。卸売業者は、国内市場未承認医薬品や輸出用医薬品が国内市場に混入することを防止するために、適切な手段を講じなければならない。


5.9.2
Where wholesale distributors obtain/supply medicinal products from/to other countries, they must ensure that entities are authorised or entitled to supply/receive medicinal products in accordance with the applicable legal and administrative provisions of the countries concerned.
卸売業者が医薬品を他国へ/他国から入手/提供する場合は、取引先が該当する国の適切な法令及び行政規則に従い、医薬品の供給/受領の許可または資格を有していることを保証しなければならない。


つづく

*~*~*~* ~*~*~* PIC/S GDP翻訳 ここまで *~*~*~* ~*~*~*
原文はPIC/Sのウェブサイトより入手可能です。
http://www.picscheme.org/publication.php



※1:
PIC/Sとは、
製薬会社に対する査察を協力して行おうとする各国の査察機関の集まりです。

※2:
GDPとは、
「Good Distribution Practice」の略で、 医薬品の流通に関する基準のことです。



(17:26)